エンディングノートは、法的効力を持つ「遺言書」とは異なり、ご自身の思いや希望を家族や関係者へ伝えるための“意思表示ツール”です。しかし、実際に書き始めるとなると「どこから手をつければいいのか」「テンプレートはどれを使えばいいのか」と悩む方も多いでしょう。
そこで本記事では、市販やネットで手に入るエンディングノートのテンプレートを上手に活用する方法や、自分で作る場合のポイントを詳しく解説します。事前に準備しておくことで、万一のときに遺族が困惑せず、スムーズな対応ができるメリットがあります。
1.エンディングノートとは
定義と目的
- テンプレートの活用: 書式や様式には厳密なルールがなく、市販の書き込み式ノートや無料ダウンロードできるPDF・Wordファイルなど、多彩なテンプレートが存在します。
- エンディングノート: 自分の人生のまとめや、死後の希望を記すための書類やノートを指します。葬儀の形式や連絡先リスト、財産・保険情報、介護・医療の意思、インターネットアカウントの管理方針など、多岐にわたる項目を自由に記録できます。
- 法的拘束力はない: あくまで遺族や周囲への“指針”として参考にしてもらう目的であり、正式な法律手続きは不要です。書き直しが容易で、自由度の高い点が特長です。
2. エンディングノート テンプレートの選び方・活用メリット
- 網羅性が高い:
- テンプレートには、あらかじめ「葬儀の希望」「相続の有無」「デジタル遺産」など、書き漏れしやすい項目がリストアップされています。必要事項をひと通り確認できるため、書き手の負担が軽減されます。
- 手間を削減できる:
- 一から項目を考える手間が省けるので、忙しい方でも始めやすいのがテンプレートの利点です。特に初めて書く人にとっては、指針があることでスムーズに筆が進みます。
- カスタマイズが容易:
- WordやExcelなどのファイル形式であれば、自分で追加・削除したい項目を編集可能です。プリントアウトして書き込んだ後も、修正や追記が必要になったら簡単に更新できます。
3. エンディングノートに書くべき主な項目
市販や無料配布のテンプレートを利用する場合でも、以下の内容はぜひ押さえておきたい項目です。
基本情報・連絡先
- 氏名、住所、生年月日
- 親族・友人・知人のリスト、特に知らせてほしい方の連絡先
- 勤務先や属する団体、保険会社の連絡方法
医療・介護の意思
- 延命治療(人工呼吸器、胃ろう、心肺蘇生など)の希望
- 介護施設や在宅介護の希望、担当ケアマネージャーやヘルパー連絡先
- 持病・アレルギーの有無、かかりつけ医や服用薬リスト
葬儀・お墓に関する希望
- 希望する葬儀の形式(家族葬、一日葬、宗教儀式の要否など)
- 利用したい葬儀社や斎場、会場の希望
- お墓の有無、散骨・樹木葬などの選択肢、宗派や菩提寺の有無
財産・相続関連の情報
- 預貯金・証券・保険・不動産など、資産の所在リスト
- 貸金庫、印鑑、通帳、パスワード管理方法
- 遺言書の有無や保管場所、専門家への相談希望
デジタル資産・SNSアカウント情報
- Eメール・SNS・インターネットバンキング、オンラインストレージのID・パスワード
- デジタル写真や動画、購入コンテンツの扱い方針
- アカウントの削除や引き継ぎ、閉鎖手続きの希望
メッセージや思い出
- 家族・大切な人へのメッセージや感謝の言葉
- 人生で学んだこと、伝えたい価値観
- 好きな物や趣味、遺品の処分方法、思い出の場所など
4. エンディングノートを書くときのポイント
- 定期的な見直し・更新
ノートは一度作成して終わりではありません。結婚・転居・資産変動・健康状態の変化など、ライフステージが変わるたびに内容をアップデートしましょう。 - わかりやすく整理する
テンプレートを利用する際は、各項目に沿って箇条書きやチェックリスト形式で記入すると、読み手が混乱しにくくなります。最終更新日を明記しておくと、どれが最新情報かわかりやすいです。 - 家族に存在を知らせておく
完成したノートは、保管場所や存在を親族や信頼できる方に伝えておきましょう。家族会議の際に共有しておくと、万一のときに家族がスムーズに対応できます。 - プライバシー・セキュリティの確保
- 紙媒体の場合: 金庫や鍵付きの引き出しなど、安全な場所へ保管。
- デジタル版の場合: パスワードや暗号化を行い、外部への流出を防ぐ対策を。
- いずれも、他人が勝手に内容を閲覧・改変できないよう注意を払いましょう。
4. エンディングノート テンプレートの入手方法
市販の書き込み式ノート
書店や文具店、インターネット通販で数多く販売されています。見本項目があらかじめ印刷されているので、初めての方でも簡単に書き始められます。
無料ダウンロード・デジタルテンプレート
企業や自治体、NPO法人などが提供しているPDFやWord形式の「エンディングノート テンプレート」があります。自宅で印刷したり、PC上で直接入力して更新も可能です。
独自に作成する
自分だけの書式を作りたい場合、ExcelやWordを使って各項目をカスタマイズするのもおすすめです。自分のライフスタイルにあわせたオリジナルテンプレートを使えば、必要な情報をスムーズに整理できます。
6. エンディングノートを活用するメリット
- 生前相談や家族会議の材料に
もしものときに備え、家族やパートナーと話し合う機会をつくるきっかけになります。介護や医療、葬儀などの希望を明確に共有できれば、いざという時のトラブルを最小限に抑えられます。 - 葬儀社・専門家への情報提供
整理されたノートを提示すれば、葬儀社や弁護士、金融機関などが必要書類や手続きの流れを把握しやすくなります。その結果、残された家族の負担が軽減されるでしょう。 - 自分自身の安心材料
エンディングノートを定期的に見直しながら書き足していくことは、自らの人生を振り返る作業にもなります。万が一の準備をしておくと、普段の生活をより安心して送ることができます。
まとめ
エンディングノートは、「家族や大切な人に想いを伝える補助ツール」です。法的拘束力はないものの、事前にご自身の希望や資産、医療・介護方針などを整理しておくことで、遺族が混乱せずに対応できるようになります。
特に、「エンディングノート テンプレート」をうまく活用すれば、書き漏れの防止や更新のしやすさといったメリットを得やすいでしょう。市販の書き込み式ノートや無料ダウンロード可能なPDFを使い、定期的に見直すことで、より充実したエンディングノートに仕上げることができます。ぜひ、ご自身やご家族の安心のために、この機会にエンディングノートの作成を検討してみてください。